アジア<QBCアジア支局だより>日米産業構造の違いに見る日本の「テレビ離れ」

Posted:2018年03月07日

 

 

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日本では「テレビ離れ」の傾向が顕著に見られ、「テレビ離れ」の話題そのものがインターネットメディアで活性化することもある。大手キー局の長寿番組終了のニュースも連続している。番組視聴率は軒並み低下し、放送局自体は「いかに制作費をかけずに放送枠を埋めるか」というモードにシフト。「テレビを家に持っていない」、あるいは「テレビを見ない」という若者層は増加しており、学校や職場でも「テレビ番組の内容」が話題になることも激減している。

 

一方、アメリカ」では、業界産業構造の特性により、テレビ番組コンテンツは影響力を保っている。テレビ番組の作品性や俳優・女優の業績、演技力などを表彰する「エミー賞」は授章式の様子がNBC、FOX、ABC、CBSの各局持ち回りで放映され、米国での著名な司会者が登壇する。

 

アメリカでは、映画産業、テレビ産業、音楽産業が、コングロマリット(複合企業)として密接に関係している。米国三大ネットワークの一つであるNBCの親会社はComcast(コムキャスト)で、同社はテレビに加え、インターネットサービスプロバイダ、映画のNBCユニバーサル、テーマパークのユニバーサルスタジオを保有している。

 

同様に、ABCはウォルト・ディズニー・カンパニー社が保有し、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ(映画)、ウォルト・ディズニー・レコード(音楽)、ディズニーランド(テーマパーク)などをグループに組み込み、2017年12月には「21世紀フォックス」の映画・テレビ部門が、同社に買収することが発表した。

 

アメリカでは、テレビ単独での事業展開ではなく、映画、音楽など表現の世界における横断的な経営がなされ、セットや出演者の活用など「資産の補完」も行われている。映画放映のために制作されたビデオクリップなどが、テレビで使用されることもあり、「パロディ番組」なども制作されやすい状態が保たれている。日本では「インターネットの浸透」により、テレビ業界が脅威に晒されているとも言われているが、米国ではコングロマリット親会社がインターネットサービス部門を保有していることなどから、インターネット浸透そのものが、テレビ業界を壊す主因にはなりにくい。

 

日本では、不景気の影響、広告費の減少もあり、大幅な制作費カットが迫られたため「ロケもの」を減らし、「スタジオもの」が増やされた。「スタジオもの」は、1回の収録で多くの話数を撮影できる。2倍の時間収録しても、出演ギャラやスタジオ費用は2倍にはならないためコスト削減が可能となる。夜の事件サスペンスドラマが減ったのも、時流の影響だ。「ロケ撮影もの」は、人件費、交通宿泊費、機材費などがかさみ、天候にも左右され、コストパフォーマンスが悪い。映画や音楽作品も一般に根付かないため、テレビとの「補完」がされにくい。

 

アメリカでは映画作品の「公共性」も高く、テレビ番組で「パロディ」や「トピック化」されることも多い。人気作品「スターウォーズ」などをはじめ、「アカデミー賞」や「エミー賞」ノミネート作などは、テレビのバラエティショーなどで話題となり、映画に登場した俳優が、そのままテレビ番組で「作品のパロディ」に登場する。

 

映画「スターウォーズ」の最新作「最後のジェダイ」にルーク・スカイウォーカー役で出演したマーク・ハミル氏が、バラエティ番組「スティフェン・コルバートショー」の中で同作のパロディに出演している。また、英米圏を中心に圧倒的な人気を誇る歌手のアリアナ・グランデ氏は、アメリカのコメディ番組「サタデーナイトライブ」のコントのコーナーに出演している。

 

日本で情報番組といえば「週刊誌やスポーツ紙のゴシップ記事をスタジオで延々と読みあげる」というシーンが増えた。地方ローカル局の情報ワイド番組でもその傾向は強まっており、「根本的なネタ不足」を露呈する形となっている。

 

(取材:亜細亜 渡)

 

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