観る第35回ぴあフィルムフェスティバル開催中!あす(27日)まで。
PFFぴあフィルムフェスティバルは、「映画の新しい才能の発見と育成」「映画の新しい環境づくり」をテーマに、1977年にスタートした映画祭です。日本が世界に誇る「自主映画」の発見・紹介を中心に活動し、これまで園子温監督、内田けんじ監督、石井裕也監督など、多くの映画監督たちを輩出してきました。
コンペティション部門「PFFアワード」では、全国から応募された全511作品から、入選作品16本を決定。2013年9月の東京開催で、最終審査員5名らにより各賞が発表されました。その後、海外の映画祭で受賞する話題作も続々と登場します。
今回取材したのは、第35回PFFぴあフィルムフェスティバルの入選作品である、族の話を、子供の目線から描いた、朴美和監督の『いたいのいたいのとんでいけ』です。
朴監督は今までに実体験をモチーフに脚色して作品を作ることで「過去を乗り越える」ことをテーマにし、多くの作品を世に送り出してきました。今回の製作にあたり工夫した点は、「演出にならないように、あまりリハーサルをせずに、間を大切にして台詞をいかした撮影法」だとか。言葉で多くを語らなくとも、役者の表情などから、作品の雰囲気を感じることができる点も必見です!
朴監督が「その時の精一杯をぶつけた作品」と語る『いたいのいたいのとんでいけ』は、主人公である少女の切ない子供映画を装いながら痛烈に社会に訴えかける思いや、子供の頃「ああいうことしたな」と純粋な子供の気持ちに返らせてくれる演出が光る作品でした。
このように沢山の自主映画作品に触れることのできる「PFFぴあフィルムフェスティバル」。
ディレクターの荒木啓子さんは「映画祭をはじめることは簡単でも作品を発表する場所として続けていくことは大変。自主映画だけに限らず、ものを作ることは不安定であり、ものづくりをする人を支え、応援していきたい。」「この福岡での開催は、作品上映の最後を飾り、2度と観るのチャンスがないかもしれない。だからこそ、今作品をつくっている人の情熱や熱気を感じてほしい」と語っていました。
また自主映画作品を観ることで、「人生に正解はなく、様々な生き方の人がいることを感じ、枠にとらわれずに広い視野で物事や世界をとらえることに繋がるような場にしたい」という願いもPFFぴあフィルムフェスティバルに込められているんだそうです。
私は今回初めて自主映画作品を観ましたが、こんなにもストレートに心に訴えかけてくる作品はあっただろうかと衝撃を受けました。それと同時に、他の沢山の自主映画はどんな気持ちにさせてくれるのだろうと言葉には言い表すことのできないドキドキワクワクとした気持ちになりました。今まで一度も足を運ばなかったことを後悔してしまうほど、すっかり自主映画作品に魅了されてしまいました。
『第35回PFFぴあフィルムフェスティバル』福岡上映は、今回限りです!是非この週末に足を運んでみてはいかがでしょうか。
【上原あゆみ】
『いたいのいたいのとんでいけ』 監督:朴美和
◇あらすじ◇
パパとママの仲も絆創膏で治せればいいのに
まだ補助輪なしでは自転車に乗れない、小学1年生の加奈は、いつも喧嘩してばかりいる両親の姿に心を痛めている。ある日、目を覚ますと、自転車の練習をする約束をしたはずのパパが姿を消していることに気付く。
『カワツヒロアキ君、はい!』 監督:河津宏亮
●本日26日15時より、今回の16作品中唯一九州出身の河津宏亮監督による『カワツヒロアキ君、はい!』の上映があり、監督も来場されます。
◇あらすじ◇
父の借金が原因で両親が離婚するという寝耳に水の報を受けた青年は、カメラを手に帰省。
姿をくらました父親を探し出して詰問するも、ラチがあかない。そ
のとき、奇跡のように、大切な記憶が目の前に現れる。
■第35回PFFぴあフィルムフェスティバル■
開催期間:2014年4月25日(金)~27日(日)
開催場所:福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ(福岡市早良区百道浜3-7-1 福岡市総合図書館1F)
チケット情報:1回券:900円/3回券:2400円/学生券:600円
※当日券は必ず販売します。
※当日学生券でのご入場には、学生証の提示が必要です。
※3回券は3人でシェアしてご利用いただけます。
※当日券は各プログラムの1時間前から販売します。