9月26日に開催された「アセアン新興国セミナー」。第二部では、Sanay International Pte.,Ltd.代表取締役の西垣充氏と(株)船井総合研究所チーフコンサルタントの筆本真功氏による講演「最新版!ミャンマービジネス事情」が行われた。
長年、ミャンマー・東南アジアのビジネス進出コンサルタントに携わる西垣氏と筆本氏。特に、ミャンマーに常駐し、ビジネスに携わっている西垣氏は現地での経済盛況を実感しているという。また、2012年度ミャンマーへの訪問者数は約55万4531人と、2011年度の約1、5倍まで増加。国別渡航者数は1,タイ、2,日本、3,中国など、先進国や成長著しい国ばかりだ。西垣氏は「ミャンマーは今、世界各国から注目を集めているといってもいい」と話した。
ただ、ミャンマーの現状として、インフラ・税制・法制度面などが十分に整備されているとは断言できない。しかし、2015年のアセアン統合計画(加盟国での関税、投資、人の流れの自由化)やインフラ計画などで、4~5年後には整備が進み、しっかりとしたビジネス環境が完備されると予想されている。また、ミャンマーで起こる不動産バブルによるビル建設が加速し、2015年にはミャンマーの風景は大きく様変わりするといわれている。
筆本氏は、こうした成長期に入りつつある途上国進出に対して「成長前に、現地で一番のシェアを獲得しておくことが成功の鍵だ」と話した。競合が少ないうちに進出することで、いち早く市場とともに成長し、さらなるシェアアップがのぞめる。そして、成長後の後退期・安定期にも、他の同業者よりも有利な立場でビジネスが可能となる。よって、目先の利益・事業拡大を目指すのではなく、ミャンマーとともに発展できる長期的な事業モデルが求められているようだ。
そして、2013年に進出したミャンマー初のラテン料理店「Salud(サルー)」や2000年に常駐しウエデイングドレスを製作する「有限会社アトリエエム」など、寡占分野でビジネスを行っているミャンマー進出企業が紹介された。また両者とも、初めは小さく、ミャンマー人との信頼関係を築き、認知度を高めることを目標とし、今後のミャンマーの経済成長から誕生するビジネスチャンスに向け、準備しているとのこと。よって、利益拡大だけでなく、自社のブランド力・人材の育成にも力を入れ、ミャンマーの人と市場に合ったビジネスモデルの構築が不可欠だ。
今後のミャンマー進出において、西垣氏と筆本氏は「2015年にはミャンマーで総選挙もあり、ここ5年間でミャンマーは大きな変化を遂げるだろう。なので、進出・投資タイミングの分析・投資の額など、経済成長に向けた準備が必要だ」と述べた。西垣氏と筆本氏が提供する情報など、複数ルートでの情報収集と分析が、アジア地域でのビジネス成功を大きく左右するに違いない。 【取材:安東真矢】 福岡アジアビジネスセンター http://www.f-abc.org/ | |