アジアシンガポールをアジアのゲートウェイに!東南アジア進出におけるシンガポール活用法セミナー(後)
福岡市中央区天神の福岡アジアビジネスセンターで9日(月)、第45回イブニングワークショップが開催された。「東南アジア進出におけるシンガポール活用法」をテーマにしたこのセミナー。第二部では、海外統括会社ソーシャルワイヤーホールディングス 取締役副社長の庄子素史氏が登壇、日系企業が進出を続ける東南アジア市場の現状について説明した。
先進国に比べ、労働者人件費や製造コストが安価アジア。数多くの日系企業が中国などに進出し、製造拠点として活用した。しかし、2011年のタイの大洪水、2012年の中国での暴動によって、生産拠点の一極集中型が問題視された。そして現在、リスク分散とした「チャイナ+1」「タイ+1 」など、東南アジアへの進出が始まっている。
海外進出を検討する企業にとって、コストはもちろん、新興国の経済・市場の拡大も大きな魅力のひとつだ。新興国の成長は著しく、2013年から2018年までのアジア全体の名目GDP8%増に対し、ASEANは8.2%増と予想されている。また、新興国に住む若者の消費の増大や、豊富な労働力が成長を加速させ、インドネシアやベトナムなどのGDP成長率は2000年から右肩上がりを続けている。また、彼らは日々の生活を通して、国の成長を肌で感じているという。その中で、自身も「明日にはもっと給料がよくなるかもしれない」という意欲が生まれ、労働への励み・商品購買欲の増加に繋がっているそうだ。
庄子氏は「成長が著しいASEANにはたくさんのビジネスチャンスが潜んでいる」と話した。そして、東南アジア南部に位置するインドネシアについて説明した。2013年、企業が人件費の高騰やインフレを懸念し、インドネシアへの進出はトーンダウンしているという。しかし、華僑を中心とした中間層の数は世界一を誇り、華僑全体の人口の56.5%(1億3100万人)を占めている。さらに、昔ながらの市場から近代的なショッピングモールまで、潤沢な販売網が整っている。
そんなインドネシアでは現在、SNSが非常に人気高く、ブラックベリーやスマートフォンなどの携帯電話を常に手放さないという。こうした現状に着目し、現地で人気の高いIT関連の新たな商品やサービスに関するビジネスが非常に期待できるようだ。
また現在は、インフラ整備や治安の改善が進んでいるベトナムとフィリピンが注目されている。人件費は安く、システムエンジニアなど、優秀な人材も豊富で、ローコストで質の高いモノを製造することができる。さらに、こうした人材を活用したアニメやシステム開発など、専門的な知識・技術が必要なBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業も活発化している。富裕層、中間層の市場は未だ発展途上の段階だが、インターネットの普及・ショッピングモールや飲食店の増加など、成長を続けているという。加えて、両国とも親日家で、日本食も好んで食べ、日本ブランドは非常に人気だという。よって、ラーメンやとんかつなどの日本食レストランの需要はますます高まっていくと予想されている。
庄子氏は「アジアに進出するうえで、国のビジネス環境におけるあらゆる点を調査し、一からビジネスプランを作り上げることが欠かせない」と述べた。シンガポールやインドネシアなど、今後も大きな経済成長が見込まれる東南アジア。充実したビジネス環境を持つシンガポールを拠点としたアジア各国をていねいに分析し、幅広い視野でビジネスを行なっていくという考え方が、企業の成功に繋がるに違いない。 【取材:安東真矢】
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