アジアアセアン新興国セミナー(前)~「カンボジアビジネス最新事情」

Posted:2013年10月01日
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福岡市中央区天神の福岡アジアビジネスセンターで「アセアン新興国セミナー」が9月26日開催された。

第一部では、カンボジアに駐在し、進出日系企業を法務・税務面でのサポート・コンサルタント業務に携わるJB LEGAL CONSULTANCY CO.,LTD代表取締役の藪本雄登氏とSkyLimited Accounting(Cambodia)Co.,Ltd代表取締役の芝清隆氏が登壇、 自身のケーススタディーを交えながら、成長を続けるカンボジアの実態について述べた。

 

カンボジアでは、製造業を中心とした日系企業の進出が続き、2010年度日本人商工会正会員数50社から、現在(2013年9月)までに115社に増加した。さらに、首都プノンペンに大型ショッピングモール「イオンモール」が2014年にオープンする予定で、サービス業の進出の加速化が予想されている。こうした背景には、メコン地域内でもっとも進出ハードルが低く、カンボジアならではの法体系があるからだ。また、「100%(土地保有を除く)外資進出、資本金1,000米ドルからの会社設立」「投資優遇制度(QIP)の取得による法人税・関税の免除」「海外為替取引・送金の自由」など、進出企業にとっては非常に魅力的な制度が目白押しだ。中国やタイの経済が成熟しつつあるなかで、カンボジアの持つ若年層が大多数を占める人口構成や、タイ&ベトナムを挟む地理的補完性がいま注目を集めているという。

 

一方、脆弱な電力供給や高い物流コストなど、改善できていない課題も山積みのカンボジア。その中で、藪本氏と芝氏はカンボジア人との価値観の違い・不透明な法規定と税制面を指摘した。セミナーでは、現地で実際に経験したケーススタディを交え、カンボジアでのビジネス事情が説明された。

 

ある日系企業の例では、日本70%:カンボジア30%による現地法人として、カンボジアでの合弁会社の設立を決心し、カンボジア側と話を進めていたものの、いざ交渉の場になると、カンボジア側は「貧しさ」を武器に、資本金30%の支払いを拒否。さらに、利益分配などの仕組みも理解しておらず、一からの説明が必要となり、交渉成立までに6ヶ月も費やしたという。

 

さらに別の事例では、会社設立の際、「商号の認可がなかなか下りない」「会社定款や条項の修正の拒否」「契約書が不十分にもかかわらず、加筆・修正が拒否される」などのトラブルが続いたという。そして、いざ事業開始となると、看板の登録、広告物の登録などが必要となり、領収書の出ない細かな出費が相次ぐ結果になったという。ミニマム税や源泉徴収税など法人税以外の税金の納付など、予想外のコストが掛かってしまったそうで、さらに、撤退の際には全株主の同意が必要で、株に書かれた額面をそのまま要求されるケースもあるようだ。

 

しかし、こうした環境の中にも、数多くのビジネスチャンスがある。事実、日本の商品・サービスは非常に人気が高く、成功を収める日系企業も存在している。ある日系企業はカンボジアの環境を調査し、「競合の少なさ」「隣国の地理的優位性」という点に目を付け、2012年に自身が日本とベトナムで経営している焼肉店をカンボジアにオープンした。日本同様の質の高い接客でもてなし、焼き肉メニューや定食ランチに加えて、唐揚げやうどんといった日本食のサイドメニューが取り揃えており、値段もカンボジアの中間層に手が届くよう設定されている。この丁寧なサービスと豊富なメニューが評判を呼び、お店は常に中間層以上のカンボジア人・日本と欧米の観光客で賑わっているそうだ。

 

 カンボジア進出には苦労が多いことは明らかだろう。ただ、今後の経済成長は高く予想され、進出前の調査・法体系と税制の対策さえしておけば、十分な可能性が見込めるだろう。藪本氏と芝氏は「国の不透明な法制度と税制との戦いは避けられないが、最低限の法律インフラは整備されている。最低限の予防さえしていれば、ベトナムやタイに比べて、ビジネスに掛かるコストはそれほど大きなダメージではない」と話している。

 

【取材:安東真矢】

 

 

 

福岡アジアビジネスセンター

 

http://www.f-abc.org/

 

 
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