学ぶ5分間経営学(その4)転ばぬ先の「マトリクス」
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「5分間で納得!経営学」シリーズ! 創業特区の福岡市。創業を計画している方、創業したばかりの方、ベンチャー企業の経営者の方に少しだけ役に立てれば幸いです。
シリーズ第4弾は、「マトリクス」。 第1弾の「ピラミッド構造」で「Why?(なぜなら)」、「So What?(だから何)」。 第2弾の「ロジックツリー」で「So Why?(それはなぜ?)」、「So How?(どうやって?)」。 二つの論理的なフレームで経営課題を考え、 第3弾の「マインドマップ」で想像力(imagination)と連想力(association)を鍛えてきました。
今回は、経営戦略策定に取り組む際の基本的な分析方法として「マトリクス」について考えます。 | |
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「マトリクス」は「マトリックス」とも呼ばれています。 マトリックスとは、元来「生み出すもの」を意味する言葉。 ここでいう「マトリックス」は、キアヌ・リーブス主演の1999年のアメリカ映画「マトリックス」とは関係ありませんが、この映画のVFXを融合した斬新な映像表現は、次に掲げる「時間管理のマトリックス」第4領域の上位にランク付けされるでしょう。 | |
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時間管理のマトリックス 1996年に出版されたスティーブン・R・コヴィー博士のベストセラー「7つの習慣」で示されたマトリクスです。 このマトリクスは、事項を『緊急度』と『重要度』で切り分け、4つの領域で分析します。
「仕事をソツなくこなす人」や一見「仕事ができる人」に対する周囲の評価は、第1領域と第3領域にフォーカスしてしまいがちです。 コヴィー博士によれば、「第1領域へ時間を割くことは避けられないが、第2領域へ時間を割くことによって減らすことはできる」としています。 普段の活動や行動を「緊急という基準」のみで行動していると、「緊急中毒」になってしまい、「緊急を増やして、それを乗り越えることが快感!」となってしまいがちです。
第1領域を減らすため、「緊急ではないが重要な」第2領域に、いかに経営者の時間と経営資源をどれだけ投入できるかが課題となってきます。 | |
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このように、マトリクスとは、まず平面にX軸とY軸を引いて2軸を作り、相対する情報を並べることで整理する考え方です。 これを「2×2マトリクス」といい、市場シェアと市場成長率を2軸の座標として対象となる事業を4つの象限に分けて分析するPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)などがあります。
低迷するアップル社のCEOに復帰したスティーブ・ジョブズ氏が提唱し、V字回復を果たしたキッカケとなったのも、たった一つのマトリクスでした。 ホワイトボードに「田の字」を書いて、縦軸に製品、横軸にユーザーを組み込み、「各分野ごとにひとつずつ、合計4種類のすごい製品を作れ!」というもの。 このマトリクスで開発された製品はどれも大ヒットし、アップル社の業績はみごとに回復をとげます。 その後、アップル社はiPodやiPhone、iPadなどを生み出し、世界一の企業価値を持つ大企業へと成長しました。
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