アジア「韓国」をより知るためにぜひ見ておきたい映画(6)「光州5.18」
日本人から見ると、思いのほか比較的最近まで続いたように感じてしまう韓国の軍事政権。一般的に「軍事政権」と解釈されているのは、1961年〜1979年、1980年〜1988年の朴正煕、全斗煥、盧泰愚が大統領だった時代のことだ。
『光州5・18』は、そんな軍事政権真っ只中の1980年5月に起きた『光州事件』がモデルになっている。光州事件とは、全斗煥の軍事政権と民主化ムードが高まる光州(韓国の西南部)の民衆の対立から起こった。ちなみに、この事件もシルミド事件と同様、長きに渡って隠されていた。10日間に及ぶ衝突で、民主化を要求する学生・市民に多くの死傷者を出した事件だ。
2007年に制作された本作(日本では2008年に公開)は、光州の民主化運動当時、軍の鎮圧で亡くなった罪のない光州市民にスポットが当てられている。現代の日本では、デモ隊と一般市民が衝突するなどということはほぼあり得ない。日本人が、現実的なリアリティを感じることは少ないが、韓国では数十年前まで敷かれてきた軍事政権によって、多くの市民が犠牲になってきた。民主化以降の韓国では、過去に発生した凄惨な事件が次々と白日の下に晒され、時に、それらは「映画作品」として映像化され、世界に知れ渡るようになる。
~ストーリー~ 光州のタクシー運転手カン・ミヌは、高校生の弟ジヌと平和に暮らしていた。しかし、ある日、全南大学のデモ隊と空挺部隊の衝突に巻き込まれる。高校の級友がデモ隊に間違われて殺されたことを知ったジヌら高校生も、兄の反対を押し切り、デモ隊に合流。全南大学のデモが、次第に光州市民vs軍という戦いへと激化していく。光州市民軍を率いるのは、かつて空挺特別部隊予備役大佐であったタクシー会社の社長パク・フンス。
〜主なキャスト〜 キム・サンギョン(タクシー運転手、カン・ミヌ役) イ・ジュンギ(高校生の弟、ジヌ役。『王の男』などにも出演……「美しい男優」として人気が高い) イ・ヨウォン(カン・ミヌの恋人パク・シネを演じる) アン・ソンギ(パクシネの父、パク・フンス役…..『シルミド』では韓国空軍准尉チェ・ジェヒョンを熱演。実力派ベテラン俳優)
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