アジア 「韓国」をより知るためにぜひ見ておきたい映画(3)「シルミド」

Posted:2013年09月07日

 

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異国文化や情勢を知るための有効な手段として「映画を見る」という方法が挙げられる。日本では「韓流ドラマ」も多く放送されているが、映画には歴史的背景や伝統的な文化、風俗が色濃く反映されていることが多い。
 「韓国を知る」ためにどのような映画を見れば良いのだろうか・・・。韓国でヒットした作品、あるいは、韓国人有識者が推薦する名作映画をご紹介する。ピックアップする作品は日本の大手レンタルDVDストアでも入手可能だ。

 

『シルミド』 

この作品は「実尾島(シルミド)事件」という実際に起きた事件が基に制作されている。2003年、韓国公開。2004年、日本でも公開された。

 

シルミド事件とはどのようなものであったのか…。1971年8月23日に韓国において発生した反乱事件。北朝鮮への派遣、金日成首相暗殺計画のために編成された訓練を受けていた特殊部隊の兵士らが処遇への不満から反乱を起こし、最終的には韓国軍及び警察によって鎮圧された。「シルミド(実尾島)」とは彼らが訓練のために集められた島の名前で、仁川にある(仁川国際空港からも近く、ロケ地にもなっていることから、映画ファンが空港からバス等を乗り継いで訪れることも多い)。

 

実はこのシルミド事件、軍事政権の下、隠されて続けていたという。2003年、事件を基に描かれた作品として「シルミド」が公開されると、「社会から封印されてきた歴史の事実が明るみに出た」と反響を呼んだ。反響があまりに大きく、韓国政府は2005年1月に事件の真相追究を決定した。

 

実際にこの作品のような背景が存在したのが1970年代の韓国であり、38度線である。日本は1945年に第2次世界大戦で敗戦し、戦争の歴史は「ピリオド」を打った形となったが、韓国は1950年〜1953年に朝鮮戦争が起き、さらに現在に至るまで、北朝鮮との間に激しい「冷戦」状態を抱えている。島国の日本は第2次大戦以降、他国から侵略されるような事象はほとんどなく、第2次大戦後の「現代」がモチーフになったストーリーで、封画がスリルで見劣りするのは社会的背景の違いに起因する。中国大陸の映画やテレビドラマでも、国共内戦(中国国民党と中国共産党の争い)が舞台として描かれている作品は少なくない。互いにスパイや暗殺者を潜らせながら緊張状態にある韓国と北朝鮮の関係や、「実話」のスケールの違いを感じ取ることができるだろう。

 

韓国の軍事政権は、朴正煕(パクチョンヒ/在任1963年〜1979年)、全斗煥(チョンドファン/在任1980年〜1988年)、盧泰愚(ノテウ/在任1988年〜1993年)ら大統領の下で続いたが、シルミド事件が発生した1971年に在任していたのは朴正煕氏……、現在の韓国大統領・パククネ氏の「父」である。

 

1971年に韓国政府が極秘に進めた北朝鮮への侵入計画、金日成首相暗殺計画と、計画に関わった韓国の工作員部隊の実話を基にした作品(3年間の厳しい訓練に耐え続け、北朝鮮へ向けた『殺人兵器』に育てられた彼らだったが、南北和解ムードの中、作戦が中断。彼らの存在意義は消滅してしまう)。壮絶な訓練、部隊内で生まれる友情、裏切り、当時の韓国の政情等についてリアルに描かれている。

 

〜主なキャスト〜

アン・ソンギ(韓国空軍准尉役/『光州5・18』にも出演する名優)

ソル・ギョング(684部隊第3班長役)

ホ・ジュノ(韓国空軍兵役)

チョン・ジュヨン(684部隊第1班長役/『トンマッコルへようこそ』でも熱演)

 

(取材:アジア支局・亜細亜渡)

 

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