アジア「韓国」をより知るためにぜひ見ておきたい映画(1)「ハーモニー〜心をつなぐ歌」
異国文化や情勢を知るための有効なツールとして「映画を見る」という方法が挙げられる。日本では「韓流ドラマ」も多く放送されているが、映画には歴史的背景や伝統的な文化、風俗が色濃く反映されていることが多い。 「韓国を知る」ためにどのような映画を見れば良いのだろうか…..。韓国でヒットした作品、あるいは、韓国人有識者が推薦する名作映画をご紹介する。ピックアップする作品は日本の大手レンタルDVDストアでも入手可能だ。
『ハーモニー〜心をつなぐ歌』
2010年、韓国で封切り。 女性刑務所が舞台。女性の囚人達による「合唱団」の活動を通した人間ドラマ。コーラス音楽が基調となっている。現行法上、女性収容者が刑務所等の矯正施設で出産する場合、乳児を矯正施設内で養育できる期間は生後18ヶ月までに限られている。本作は、一人の女性囚人ジョンへが赤ん坊を出産するシーンから物語が始まる。生まれてきた赤ん坊ミヌは他の囚人達からも可愛がられ育っていくが、18ヶ月で養子縁組に送られるという「別れ」を迎える。母親ジョンへと子供ミヌとの「別れ」のシーンは、この作品の一つのピークだ。 主演は、ハリウッドを舞台に活躍するキム・ユンジン。米ドラマ「LOST」にも名を連ねた大物女優で、韓国映画(ハーモニー)へのキャスティングは話題を集めた。それでも作品は話題のみが先行することなく、クオリティへの評価も集めた。 母親ジョンへと子供ミヌとの別れから、4年後、囚人メンバーで構成された合唱団の活動が評価を受け、一般の全国合唱大会への特別参加が決まる。会場で熱唱する合唱団。歌い終えると、こども合唱団のメンバーが舞台上に上がってくる。その子供の中に、4年前別離した子供ミヌの姿がある。ここも「泣きどころ」の一つ。
主なキャスト /キム・ユンジン(ハリウッドでも活躍する女優。話題作「シュリ」のヒロイン役) /ナ・ムニ(元音楽大学教授を演じるベテラン女優。こわい姑役からコメディまでこなす本格派女優) /カン・イェウォン(合唱団の柱となる囚人役の女優) /イ・ダヒ(情に熱い長身の刑務官役)
更なるクライマックスは、死刑が確定しながらも執行されずに刑務所内で生活してきた元音大の教師ムノク。ムノクは合唱団をまとめ、指揮をする立場でメンバーからも慕われてきたが、時流からついに死刑が執行される日が来る….。 映画としては史上初めて許可を受け、清州(チョンジュ)女性刑務所内部で撮影が行われた。
(取材:アジア支局・亜細亜渡) |