「誰も行かない方を選んできた」と自らを語るベテラン落語家・桂福団治の生き様を追ったドキュメンタリー映画「人情噺の福団治」が11月5日(土)からKBCシネマで公開。それに先駆け、冷泉荘(福岡市博多区冷泉町)で試写会が行われました。
この映画は、日の当たらない、しかしながら名人的に上手い落語家・桂福団治に福岡在住の映画監督・伊藤有紀氏がスポットを当てたドキュメンタリー。メディアに引っ張りだこのいわば売れっ子芸人が数多く存在する陰で、真摯に落語に打ち込む姿や生き様が自分と重なって見えたという伊藤氏がメガホンを取ったことからこの作品が生まれました。
本作品の試写後は、質疑応答の時間も設けられ、伊藤氏が密着取材時や完成に至るまでの苦労や感じたことを赤裸々に語っていました。 そこでは「これは単なる美談ではない」とも。 その言葉通り、ベテラン落語家としての顔やたくさんの弟子から信頼と尊敬を寄せられる存在感と、一方で一人の父親としての弱い部分もリアルに描かれています。また、福団治を「パンツを脱げない方」と表現し、それも厳しい落語の世界で落語一筋に生きてきた結果の姿だと感じたと 語っていました。
売れっ子芸人を「太陽」とするなら、自らを「月」の芸人という桂福団治。 しかし、太陽と月は表裏一体で、どちらも必要な存在。 人間を「勝ち組・負け組」と分けて、分かりやすい成功以外を無価値としたがる現代に、福団治の生き様が放つメッセージを受け取ってほしいという願いが込められた作品です。
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監督:伊藤有紀 製作:記録映画「人情噺の福団治」製作委員会 上映日/2016年11月5日(土)~11日(連日10:00より1回上映) 場所/KBCシネマ(福岡市中央区那の津) チケット/一般1,800円 学生1,500円 シニア1,100円 前売り1,200円
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四代目・桂福団治(落語家)75歳
三重県四日市市出身。関西演芸協会第10代会長、上方落語協会理事、日本手話落語協会会長。 藤本義一の小説を原作とした映画「鬼の詩」に主演後、声帯ポリープのため一時的に声が出なくなった経験から 手話落語にも取り組み、1980年に手話落語で「寿限無」を披露。現在も意欲的に取り組んでいる。 「蜆売り」「藪入り」「ねずみ穴」などの人情噺を得意としている。
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日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻・修士課程修了後、映画やドラマの助監督を経て フリーのディレクターとして活動を開始。 福岡に移住後、劇場用長編映画第一作となる「まちや紳士録」を制作、全国で公開されている。 |