急成長する中国のネット市場の中で、最大規模を誇るECモール「タオバオ」。その会員数は、なんと4億人以上、さらに、中国ネットショッピング人口の90％がこの「タオバオ」を利用しています。
そんな「タオバオ」に、日本人が出店し、成功するためには…！？
今回、その方法が学べる「中国ネットビジネスと商標権」セミナーが、1月17日に福岡商工会議所で開催されました。

講師を務めたのは、上海愛夢貿易有限公司の宋寅成さん(現在上智大学留学中)。「タオバオ」を通して毎月200万円を売り上げているという実績の持ち主です。

では、実際に、日本人が「タオバオ」を通して商品を販売するメリットや、将来性はあるのでしょうか。宋さんは、自信を持って「ある」と話します。その理由は2つ。
◆「タオバオ」出店のメリットと将来性
まず1つは、中国のネット普及率が毎年上がっていること。現在の中国のネット普及率は約30％、日本は約80％と言われているのに比べて、これはまだまだ 低い数字です。今後も、中国ではさらなるインターネットの普及が見込めます。また、ネットが普及するに従って、中国の通信販売市場も成長しており、「タオ バオ」の売り上げも右肩上がり、今では流通売上規模で、楽天の約5倍に達しています。このことから、中国のネット市場はまだまだ「成長中」と言えるので す。宋さんは「タオバオを始めるなら、いつでも間に合う！」と宣言しています。

また、2つめの理由は、「タオバオ」で日本の商品が人気を集めているため。中国では、「日本製＝安心・安全」のイメージが大変強く、特に、ベビー・マタニ ティー商品や、食品、化粧品などにおいて、日本の商品は大人気！ちなみに、中国の現地デパートなどでも日本ブランドの商品は販売されていますが、実のとこ ろ、日本で売られている物と完全に同じではない事が多いのだとか。化粧品を例に見ると、中国には中国独自の化粧品の成分審査があり、その審査を通すため に、成分の配合を変更する場合などがあるそうです。
ただし、出店にあたって注意も必要。宋さんは、「日本と同じ販売方法では、中国での成功は無理」と話します。

◆「タオバオ」出店の成功のカギ
宋さんによると「タオバオ」での成功のカギは、「アリペイ」の使用とチャット販売。「アリペイ」とは、「タオバオ」の銀行のようなもので、「タオバオ」利 用者の98％が使用しているシステムです。商品が購入されると、購入者の「アリペイ」口座から商品代金分が凍結され、その後、出品者の商品発送が確認され れば、今度は「アリペイ」から出品者へと商品代金が振り込まれる仕組みになっています。お互いの顔が見えないネットショッピングに、「信頼できない」と感 じる中国人が多い中、「アリペイ」を利用せずに販売を行うことは、顧客を逃す大きな原因になると言えるのです。「アリペイ」の開設には、銀行の審査が必要 ですが、出店のためには必要な手続きのようです。
そして、もう1つ、重要なのが「ライブチャット」を利用しての質問対応。日本人は、ネットショッピングの際、商品の説明文を読んで購入を考えますが、中国 人で長い説明文を読む人はほとんどいないのだとか。中国人は、商品の気になる事はすぐにチャットで質問をする傾向があり、チャット対応を迅速に、確実に行 うことは、売上げを上げることにつながるといいます。特に、夜は一番商品が売れる時間なので、チャット対応の人員を確保することが必要だと話しています。

大きな市場を持ち、かつ手軽に始められるネット販売。中国進出を考えている企業にとって、「タオバオ」への出店は魅力も多いことでしょう。しかし、気軽に 始められると言っても、日本とは違います。まずは、売り方を知ること・中国人の商売方法を知ること・中国ネット市場を知ることが成功への一歩へとつながり そうです。

＜社団法人　福岡貿易会のホームページ＞
http://www.fukuoka-fta.or.jp/

無料国際ビジネス相談も開催中(要予約／1枠50分程度)
・国際ビジネス全般相談…毎週木曜日　13:30?16:30
・中国ビジネス相談…第1・第3火曜日　13:30?16:30

▽講師の宋寅成さん


古賀　かなこ