△講師の大越修さん(株式会社オオコシセキュリティコンサルタンツ代表)
仕事や旅行など、様々な目的で海外に渡航する日本人が増える中、渡航先で事件に巻き込まれるケースは少なくありません。比較的安全と思われがちな先進国でさえ、殺人や強盗などの犯罪発生率は日本と比べて何倍、何十倍も高いのです。
では、被害に合わないための予防法や、万が一、事件に巻き込まれた時の対処法とは…?
今回、その方法が学べる「海外リスクマネジメント」セミナーが、1月17日に福岡商工会議所で開催されました。講師は、日本で初めてのセキュリティコンサ ルタント会社である株式会社オオコシセキュリティコンサルタンツの代表・大越修さん。NYA International Japanの代表も務める、危機管理の専門家です。
海外リスクに対処するには、まず何を行えば良いのでしょうか。大越さんは「渡航する国の治安情勢をよく調べることが大切」と話します。
◆治安情勢を知る
国によって文化が違うように、犯罪の傾向や手口も様々。例えば、中国では貧富の差が大きくなるにつれて身代金目的の誘拐事件が増加していることや、インド には700以上の誘拐犯罪者グループが存在すること、また、フランスの強盗事件発生率は日本の60倍近くあるなど、皆様はご存知でしたか?
まずは、外務省の『海外安全ホームページ』を参考にしたり、セキュリティコンサルタント会社に相談したりして、自分の渡航先の治安情勢を詳しく調べること が大切です。大越さんは「自分と家族の安全は自分たちで守る」、そのためには「予防が最高の危機管理となる」と話します。
また、海外駐在員や出張者の安全を守るためには、本人だけでなく、会社も十分な準備と対策が必要です。
◆海外駐在員・出張者のための安全対策
会社の海外進出、それはとても素晴らしいことです。しかし、海外進出を成功させるためには、会社がしっかりと社員の安全を守る対策をとっておく必要があります。主なポイントは「連絡・防犯・健康」、この3つ!
まず「連絡」においては、複数の連絡手段を用意し、電話が通じにくくなる災害や緊急時の対策をとっておきます。また、緊急連絡網の定期的なチェックも必要です。実際、「連絡網が古く、連絡先が変わっていて繋がらない」というケースも多いそうです。
「防犯」の面では、社員の住居を治安の良い地域にすること、最新の犯罪発生状況を知らせ、常に防犯意識を持たせること、社員の家族にも安全対策研修を受け させることなど、犯罪に巻き込まれないための予防策を立てておくことが必要です。さらに、万が一社員が事件に巻き込まれた時の対処法も学んでおく必要があ ります。その際には、マスコミ対策も忘れずに!
ちなみに、もしも社員が身代金誘拐事件にあった場合、あなたはどうしますか?日本では「事件=すぐに警察に届ける」ことが基本ですが、海外で発生した場 合、その行動に出るのは少し危険。特に、社員が誘拐されている現地の警察に届けることが一番危険です。なぜなら、犯人と警察官が繋がっていて、共犯の可能 性があるから。まずは、大使館に届け、その後大使館から現地の大きな警察へ繋げてもらうことがベストなのだそうです。
最後に、「健康」においては、特に社員のメンタル面に注意する必要があります。慣れない海外生活で強いストレスを感じる人も多いそうです。また、赴任先に 合わせた予防接種や、保険の加入を呼びかけることも大切です。病気の予防はもちろん、病気になってしまった時の対策もしっかりとっておきましょう。
このように、海外リスクは多岐にわたり、一朝一夕で対策をたてられるものではありません。大越さんは「普段の備えが危機発生時の対応を左右する」と言います。備えあれば憂いなし、日頃から様々なリスクに備えておくことが、海外で身を守る最大の安全対策なのです。
<社団法人 福岡貿易会のホームページ>
http://www.fukuoka-fta.or.jp/
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・国際ビジネス全般相談…毎週木曜日 13:30?16:30
・中国ビジネス相談…第1・第3火曜日 13:30?16:30
<オオコシセキュリティコンサルタンツのホームページ>
http://www.globalsecurity.jp/
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