アジア<QBCアジア支局だより>【韓国食文化探検】柔らかいのに崩れない、純豆腐(スンドゥプ)チゲ
日本を席巻している韓国食文化の一つに「純豆腐(スンドゥプ)」がある。純豆腐を使ったチゲ(鍋)の専門店が東京をはじめとしてチェーン店化し、ここ数年で全国展開しており、日本人にとっても馴染みが深い食べ物となってきた。
純豆腐とは、日本では「おぼろ豆腐」に近く、食感が柔らかい。豆乳に凝固剤を加えた状態のままのもので絞らないため水分を多く含み柔らか。豆腐そのもので食べるよりも、鍋の具材として使用され、「純豆腐チゲ」という組み合わせで食されることが多い。
「純豆腐チゲ」は、鍋にアサリやシジミ、肉、野菜などに純豆腐を加え、唐辛子、ニンニク、ごま油、ショウガなどを加えて味を整える。純豆腐チゲは、キムチ同様に世界に通用する韓国料理となっていった。健康志向の高まりと豆腐にスポットライトが当たり始めたことを契機に、1990年代、アメリカ・ロサンゼルスの人気メニューとなる。口当たりが非常に柔らかく、口に運ぶとプルプルとした食感が広がる純豆腐。さらに、豆腐が海鮮ダシのエキスをよく吸い込むため、味わいを深く感じることができる。柔らかいのに、崩れてグチャグチャにならないのは凝固剤の的確な調合があり、タンパク質が結合しているためだ。
韓国の豆腐鍋料理は「純豆腐チゲ」だけではない。「テンジャンチゲ」と呼ばれる味噌鍋には、日本で言うと「木綿豆腐」のような比較的硬めの豆腐が使われる。韓国製の味噌のみでの味付けが主流だが、最近は、日本からの輸入した味噌と韓国産味噌を半分ずつ調合した鍋もトレンドの一つとなっている。韓国は日本よりも北に位置し、冬の「乾燥」が厳しい。韓国女性は冬の乾燥予防としてマスクをしたり肌に乳液を多く塗ったりするが、「身体の内側からの対策」として、コラーゲンたっぷりの「鶏肉」を鍋にたくさん入れて食べる傾向もある。
(取材:アジア支局・鍋光)
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