イベント売上げアップに繋がる!?商人としての技術を磨く「博多商人塾」が開講
福岡市博多区の福岡商工会議所で23日、顧客創造をテーマとした講座「博多商人塾」が開催された。
「博多商人塾」はセミナーを通した人材育成や参加者・OBとのネットワークづくりを目標に掲げ、1990年に発足。福岡市をはじめ、福岡市商店街百貨店量販店連盟や福岡地区中小企業団体連合会など計6団体で構成されている。24期目を迎えた今期は、売上げアップにつながる商人としての総合力を磨く講座を全6回開催していく。
今期初の「博多商人塾」では、トリゼンフーズ(株)代表取締役の河津善博氏による基調講演が行われた。九州の食ブランドで有名な「華味鳥」や郷土料理である「水炊き」を育み、日本・世界に展開している トリゼンフーズ。会場では、河津氏自身が実践する、常に新たな創造を生み出し続ける経営法について熱く語った。
幼い頃から「商売人になる」という夢を抱いていた河津氏。その思いは、河津氏の父であり、 トリゼンフーズ(株)会長の善陽氏の姿から生まれたものだった。河津氏は高校を卒業後、家業である養鶏業に見習いとして汗を流した。また、朝5時から鳥の仕入れや処理に追われる、過酷な毎日を過ごしていたという。しかし、忙しく働くなかで「商売人」へと一歩一歩近づくことを実感し、苦ではなかったそうだ。
河津氏いわく、当時はものが不足し、鶏肉の販売よりも仕入れるのが難しい時代だったとのこと。そこで、1972年に「株式会社唐津養鶏場」を開業し、鶏肉の仕入れから小売まで手掛けるようになった。しかし80年代に入ると、各地域でブロイラー業が盛んになり、スーパーとの価格競争が激化した。この問題を打破しようと、河津氏はオリジナルのブランドを作ることを考え、ブランド鳥「博多・華味鳥」が誕生した。
その後、直販事業部や水たき料亭「博多華味鳥」などを立ち上げ、料亭の味・料理屋の味である 華味鳥を各地に展開していった。しかし、店舗の拡大を続けるうちに、売上の低迷が続いた。この状況下、河津氏はすぐさま飲食業に見切りをつけ、広げた店舗を次々と閉店させた。また、自身の原点である博多の養鶏業を見つめ直したという。そのことが「味・鮮度が高い鶏肉の提供が命だ」と再認識に繋がった。同時に、博多の人々が持つ「おもてなしのこころ」のすばらしさに気付いたという。
こうした学びを踏まえ、トリゼンフーズ では物流面に力を入れ、養鶏場の設備や管理を徹底している。実際に、2004年には総工費2億3000万円かけて、箱崎配送センターを完成させた。さらに2011年には4億円かけて、直営養鶏場をリニューアルした。現在では、社員育成が進み、新規店舗の運営など幅広く取り組んでいる。河津氏は「商売人には、ときには大胆な見切り戦略を行うことも大切だ」と話した。そして、参加者に“人間万事塞翁が馬”(悪いことが起きても、後に幸運をもたらすことがある)という考えを伝えた。
次回の「博多商人塾」は30日、山内経営コンサルティング事務所代表の山内修氏による講演“地元で一番になる「地域戦略と営業戦略」今こそ経営を見直す”が行われる。「営業を勉強したい」「他業種と交流したい」という商人・企業人はぜひ参加してみるといいかもしれない。
博多商人塾