アジア<QBCアジア支局だより>突然消えた番組?尖閣問題の余波!?
人気テレビ番組が突然お茶の間から消えたことで、視聴者の間で波紋を呼んでいる。 番組タイトルは『東京印象』。上海の地方テレビ局「星尚頻道」で毎週土曜夕方5時半から放送されている人気番組だ。東京をはじめとする日本のトレンド、観 光情報を中国人の女性レポーターがテンポ良く紹介するもので、ターゲットは若い女性。全国に行き渡る衛星テレビではなく、地方局での放送のため、視聴エリ アは限定されるが、番組はインターネット共有サイトにアップロードされ、中国全土から支持を集めている。 その『東京印象』が突然消えた。何の告知も無く、9月8日(土)の放送を最後に、突然、なくなった。放送が停止することを中国では『停播(ティンポー)』 と呼ぶ。9月15日(土)の夕方5時半からは他の番組が流れ、中国人視聴者は、『東京印象』の動画サイトのコメント欄に「なぜ停播なのか!?」「政治とテ レビ番組は関係ないはずだ!」といった書き込みがなされた。 中国では外国の風景やトレンドを専門的に取り上げる番組はほとんどない。上海にこうした番組が存在するのは、上海が、国内で最も国際化が進み、異国文化を吸収する土地柄ゆえである。 上海で日本のトレンドを紹介する番組『東京印象』。尖閣諸島問題が激化したのが9月中旬。番組が突然消えた理由は誰の目にも明白である。しかし、テレビ局 からは理由説明はなく、停播することすら告知がなかった。視聴率が高い人気番組をテレビ局が終了させたいはずがない。ただ、両国間の政治問題発生の中で放 送し続けた場合、「テレビ局が国に睨まれる」という危険性がある。テレビ局も、無言の圧力を受けての停播だろう。 停播とはあくまで「番組が停止している状態」のこと。「完全に終了した」というわけではない。女性司会者・ヤン伶俐(ヤンリンリー)さんの人気も高い。「放 送は果たして再開されるのか」、視聴者は毎週注目している。今後の『東京印象』はどのように処理されるのか。放送終了か、再開か、無期延期か・・・。今後 の動向は、中国の日本に対するシャットアウトの度合い、中国メディア界の締め付けの温度を測るのに一つのバロメータとなりそうだ。 【アジア支局:亜細亜渡】 | |