身から出たサビ!?中国で活動する日本人国際コラムニストの加藤嘉一氏の「ウソ」の収拾がつかなくなっている。10月31日に日本の週刊誌が「『中国で一 番有名な日本人』加藤嘉一氏に経歴詐称疑惑」と題し、加藤氏の「東京大学に合格したが、それを蹴って、北京大学に留学した」との発言は全くのウソで、さら に経歴にもいくつかのウソがあると報じた。その報道を機に、日中両国間のインターネットメディア、さらには中国中央電視台まで巻き込む大騒動となっている のだ! 加藤氏は中国に拠点を置く評論家で、日本では中国の現代社会に関する書籍を出版したり、情報番組に出演するなどの活動を行っている。 学歴経歴詐称に関する一連の騒動を受け、加藤氏は自身の微博の中で「自分の幼稚さと未熟さ故に、皆さんに誤解を与えてしまった。大変申し訳なく思うと同時に、今後、皆さんからの信頼を得られる人間になれるよう努力したい」と謝罪している。 筆者(私)は中国に拠点を置いているが、かねてから、加藤氏の日本テレビ番組での発言には違和感を抱いていた。加藤氏は、今年3月、池上彰氏が司会を務め る日本の民放テレビ番組に、新進気鋭のジャーナリストとしてゲスト出演。加藤氏は番組内で「胡錦涛国家主席から一目置かれる人物」として紹介され、本人も 「胡錦涛国家主席と接触する機会があり、ちょっとした意見交換をした。その内容について具体的に(このスタジオでは)言いづらい。(言いづらい部分は)内 密な話だから外には漏らさないでくれという前提があるから。胡錦涛さんは私と個人的な交流をする際も『加藤さん、これからも言論活動の方で頑張ってくれ』 という言い方をされた」とコメントしている。著書の中でも「短い時間ではあったが、胡錦涛氏は私の目を見てじっと何かを訴えかけた。我々には暗黙の了解が できあがっていた」という旨の記述をしている。自身のプロフィールでは「2008年5月、胡錦涛氏に面会を求められた」と記述。胡錦涛氏との親密な関係を なにかとアピールしているのだ。経歴詐称が明るみになった現在、果たして、胡錦涛氏とのエピソードもどこまで本当なんだか・・・? 私はこれまで、情報の中枢である北京のテレビチャンネルで加藤氏の姿を目にしたことはない。加藤氏が主に出演しているのは香港フェニックスTVの政治系 トーク番組だ。香港発の番組は大陸全体をカバーしており北京でも視聴は可能だが、中国国内で主流の位置を占めているわけではない。加藤氏は日本で「情報統 制の厳しい中国で取材活動を行っている」というテイストで自身を紹介しているが、実際の言論活動は自由度の高い「香港」が中心だ。 たしかに加藤氏の語学力は優れている。中国での知名度も高い。しかし、著書はどれも「自叙伝」「自慢話」の延長線で、その内容にジャーナリズムとまで言え るほどの厚みがあるとは思えない。「大学時代にこういう中国人と触れ合って感銘を受けた」とか「この俳優に取材で会い、親交が続いている」など。「ウソ」 ではないかもしれないが、加藤氏の言論は「1の話を100にする」傾向が見られる。日本の芸人がよく使う「話を盛(も)る」という話法だ。 中国でそういう類の人間は多い。北京大学や清華大学の卒業証明書を精巧に偽造する店も溢れている。日本はコミュニティが小さく、人の定住性が高いため、学 歴経歴詐称は少ない(すぐバレるため)が、(移民も含め)人が流動する中華圏では詐称はよくある話。よくありすぎて、人が自分で語る経歴など信用していな い。 加藤氏の語学能力の高さは、出演する香港のトーク番組を見れば一目瞭然だ。「東京大学を蹴って北京大学に来た」という虚言エピソードのみによって成功を勝 ち得たわけではないだろう。発音、声調も中国人のものに近い。ただ、中国で生活するうちに(あるいはその前から)中国人独特の「虚言癖」までも身に付いて しまい、トーク番組の中で口走ってしまったのかもしれない。彼にとって不運なのは、ウソを口走ったインターネット番組が動画サイトにしっかりと残されてし まっていることだった。 (続きは、次回のQBCで) 【アジア支局:亜細亜渡】 関連リンク:証拠映像/中国インターネット番組『両会三人行』 http://www.youtube.com/watch?v=Ser0if4ZIEM
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