アジア輸出ビジネスのヒントが満載!現地コーディネーターが海外の食品市場の現状を説明
第一部には、日本貿易振興機構(ジェトロ) 香港事務所・食品コーディネーターの彦坂久美子氏が「香港食品市場と輸出のヒント」をテーマに講演、香港市場の現状を伝えた。
香港の面積は東京の約半分1,104km²に対し、人口717万人と、世界で最も人口密度が高い地域のひとつ。そして香港の貿易には「自由貿易制度」「地理的優位性」「高級品以外関税なしの税制」といった特徴があり、世界各国の商品を盛んに輸入している。また2012年の食品輸入額は約149億香港ドルとなり、過去十年間で約2.6倍の成長を遂げた。
香港の最大の魅力は、香港以外の国々への商品PRに繋がる点だという。昨年の旅行者数は約4,860万人で、その約72%は中国大陸からの観光客。香港で開催される展示会には、アジア・ヨーロッパなど各国から80万人以上が訪れるという。つまり現地住民だけでなく、他国の人たちも日本からの輸入された商品を口にするチャンスが得られやすいということだ。そのため、香港では実際に輸入した商品の26.1%を中国やベトナムなどへ再輸出しているという。
こうした香港市場の特徴を背景に、日本企業の外食産業・日本産食品の進出が続いている。香港の飲食産業売上額は937億香港ドルで、10年間で約1.7倍に成長した。外国料理店の中で、日本料理店は1160軒あり、最も高いシェアを占めているという。さらに香港ならではの地の利を生かし、早朝に日本で新鮮な海産物を仕入れ、夕方には香港のお店で提供するといったビジネスが行なわれている。
日本産食品を取り扱う小売店の数も拡大している。香港資本系スーパー・コンビニ・青空市場など、さまざまな店で日本産食品が陳列されているが、特に北海道牛乳や宇治抹茶など、日本独自の商品・デザートの人気が非常に高いそうだ。
一方で、東日本大震災による放射能問題から、日本食の「安心安全」というイメージは崩れてきている。そして「日本産食品離れが進むのでは」という不安も未だに払拭できていない。今後は「美味しさ」「安心安全」だけでなく、新たな食分野への挑戦・香港のニーズに合った商品の輸出が求められてくる。登壇した彦坂氏は「香港市場で、キラリと光る日本産食品をどんどん提案していきましょう」と前向きに話していた。