観る写真からひもとく近現代建築「北九州のディテール展」
北九州市立黒崎市民ギャラリーで昨年暮れから約1か月にわたって開催されていた「北九州のディテール展」の巡回展が、北九州市立文学館で開催されています。
今回、展覧会の中でも大きな存在感を放っている建築界の巨匠・磯崎新氏が設計した会場(北九州市立文学館)内で、北九州市内の珠玉の31近現代建築を美しいモノクロ写真やスライド映像で紹介しています。
期間中は、展覧会のディレクターでもあり、展示写真のコーディネイトを行っている建築家の古森弘一氏によるギャラリートークも開催されています。
北九州の美(beauty)を五感で堪能する貴重な機会に足を運び、今まで知らなかった北九州の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
◇コンセプト◇
ディテール(細部)にじっと眼を凝らして、初めて見えてくる全体もあります。
20世紀の建築家ミース・ファン・デル・ローエは「神は細部に宿る」という言葉を残しています。
北九州という街も同じではないでしょうか?北九州とは何か?その全体は一気には見えづらいものです。
20世紀に発展した複数の都市が手を取り合って誕生したという経緯が、そんな発見の余地を生んでいるのでしょう。
さまざまな彩りを備えた豊かな街に、私たちはもっと近づきたいと思います。
そこであえて、モノクロームでディテールをとらえました。
生き物を思わせる曲線、冷たい魅力をたたえた直線、精巧な機会に似た輝き、モノクロームでも温もりを隠せない素材感・・・これらはすべて、北九州に今もある建築の一部なのです。
建築のディテールがその部分だとすれば、建築は街のディテールです。
北九州は全国でも珍しい名建築の集積地です。明治から平成の現在まで100年以上にわたって、著名な建築家たちが各々の才能を投入してきました。
美しいだけではなく、斬新なデザインの試みや工学的な挑戦も数多く見出せます。
この街が果たしてきた社会的、文化的な役割の大きさが、そこには反映されているでしょう。
寡黙なようで雄弁な建築のディテールたちから、この街が持っているとびきりの資産と、確かな未来を指し示す全体を感じとっていただければ幸いです。
[北九州の近現代建築]
上野海運ビル(若松区)、大谷会館(八幡東区)、北九州国際会議場(小倉北区)、北九州市立大学北方キャンパス本館(小倉南区)、北九州市立美術館本館(戸畑区)、門司ゴルフ倶楽部ハウス(門司区)、安川電機本社(八幡西区)ほか多数
◇北九州のディテール展◇
【日程】平成26年4月5日(土)~5月25日(日)
【会場】北九州市立文学館
【開館時間】9:30~18:00(入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜日 ※ただし、5月5日(月)は開館。5月7日(水)が休館。
【入場料】無料(北九州市立文学館常設展は有料)
◇関連イベント◇
ギャラリートーク「ディテールでみる北九州の近現代建築」
展覧会の開催にあたって、本展覧会のディレクターである建築家の古森弘一氏が北九州市内に潜在する多くの近現代建築の魅力に迫ります。
【講師】古森弘一(建築家)
【日時】5月10日(土)14:00~15:00
【会場】北九州市立文学館
【定員】50名(先着)
【参加費】無料
http://www.kitakyushucity-bungakukan.jp/exhibition/619.html