一人あたりの鶏肉消費量が日本一と言われる大分県。なかでも中津市や宇佐市を中心とした県北地域では、鶏肉の「からあげ専門店」が数多く軒を連ね、精肉店や惣菜屋等を含めると両市で100軒を超える唐揚げ販売店があります。

中津市や宇佐市のからあげは、醤油やにんにく、しょうが等をベースとしたタレに漬け込んで、下味をしっかりとつけてから揚げるものが多く、各店舗によってそれぞれ異なる秘伝のオリジナルのタレが特徴です。

福岡県に隣接に隣接する福沢諭吉の出身地で有名な中津市の人口は約8万4千人、そのおとなり宇佐神宮がある宇佐市の人口は約5万7千人。両市あわせても福岡市の人口の1／10に満たない都市で、どうしてこんなに多くの専門店が成り立っていけるのか。

理由は、食文化にあるようです。

2007年、新垣結衣、三浦春馬主演で大ヒットした日本映画「恋空」は、主要ロケがこの中津市と宇佐市で行われました。この映画の1シーンに、主人公・美嘉（新垣結衣）の家庭の食卓風景が映し出されています。

テーブルの上の大皿に盛られた鶏のからあげ、美嘉と姉のさおり（深田あき）で奪い合うようにして食べています。

このように、からあげ専門店の店主に聞くと「地元の人はキロ単位、観光客は2～300グラム」で買っていくそうです。

「からあげの聖地」といわれる中津市には、1990年にケンタッキーフライドチキンが出店しましたが5年で撤退。現在、ショッピングモール「ゆめタウン中津」内に1店あるのみです。また、「からあげ専門店発祥の地」とされる宇佐市にはマクドナルドはありますが、ケンタッキーフライドチキンは1店もありません。

戦後、政府の食糧難対策により養鶏場がたくさん作られ、鶏肉の美味しい食べ方がさまざまな形の唐揚げ文化として発展してきた「からあげの聖地」中津市と「からあげ専門店発祥の地」宇佐市。

次回から、両市の主な専門店を紹介します。